山本周五郎 講談社
私は山本周五郎の短編が好きで、雑誌の目次でその名前を見つけると、まず第1に読んだが、「ちいさこべ」もその1篇だった。
(中略)私自身引き揚げて裸一貫からスタートした体験をもっていたし、引揚者寮、戦災者住宅で、夜露をわずかにしのいだ時期もあった。 新聞記者時代には上野の地下街に取材に行ったこともある。多数の人たちとともに暮らし、共通のことで苦しみ悩み、そこに生きる希望を求めていくという作者の願いを、「ちいさこべ」もまた切実にしめす作品だった。
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